理科 地学科 中学1年生希望者対象 第2回地学野外実習@神奈川県・城ケ島
2016.04.02
3月22日(火),中学1年生の希望者対象の第2回地学野外実習を行い,計23名の生徒が神奈川県三浦半島の先端に位置する城ヶ島を訪れました.
この野外実習は,教室では扱えない本物の自然に触れ,教科書などで学んだ内容の理解をさらに深めること,理科への興味・関心を高めることを目的に行っています.多摩川での化石採集,河川地形の観察を行った第1回に続き.第2回となる城ケ島でも,授業で学んだ内容が盛りだくさんの実習となりました.
今回は,講師として,海洋研究開発機構(JAMSTEC)の北山智暁先生,帝京平成大学の小森次郎先生をはじめとしたgeo×educationという団体の方々に案内をしていただき,大学レベルの専門家の熱い話に生徒も引き込まれている様子が感じられました.先生方,どうもありがとうございました.3学期の授業で扱った堆積構造(級化構造やクロスラミナ,火炎構造),断層,褶曲,生痕化石,火山噴出物,凝灰岩,隆起地形など、テストでは正解できている内容であっても,やはり本物を前に観察して説明を受けることで,さらに理解が深まったり広がったりしているのを感じました.机上ではなく野外での本物の自然を通した深い理解がなければ,地球環境や自然災害の問題は解決どころか理解も難しいでしょう.このことは大人でもうまく震災や環境問題に対応できていないことからもわかるでしょう.この学びが地学だけでなく学校全体の学びに良い影響を与えてくれることを願っています.また機会があれば,是非,参加してください.お疲れ様でした.
geo×education ホームページ:http://www.geoeducation.jp/
城ヶ島バス停前で自己紹介と全体の注意.ここから2班に分かれて実習をしました.
タフォニと呼ばれる風化の観察.岩石にあるたくさんの穴について考えました.
こちらは急な傾きを持った地層で,級化構造や断層などを観察.やっぱり本物が一番.
ここでは大小さまざまな規模の断層が数えきれないくらいありました.
岩石に穴をあける穿孔貝.この穴のあとが地層から見つかると,昔の海面の高さがわかります.近くでは,海面付近に住む生物の化石から大正関東地震による隆起量が推定できるのを学びました.
露頭を前に説明を受けます.徐々に慣れて,質問も出るようになりました.
貝殻を集めて,サンポールを入れます.二酸化炭素の泡が出てきました.炭酸カルシウムの殻を持つ生物や成分として含む岩石からは,同様の反応が見られます.
教科書にもよく載っている露頭で,火炎構造と逆断層が見られます.教科書級のものをしっかりと観察することはとても重要です.
こちらは生痕化石.生物が生息していたことがわかる巣穴や這い跡が化石になったものです.
小高いところから地層の褶曲を観察.ついつい近づいて細かく見てしまいがちですが,実は近づくことと遠ざかることの両方の目が重要です.虫の目,鳥の目です.
こちらは断層です.写真ではわかりにくいですが,右側と左側で地層が違います.
最後に,ウミウ展望台からの観察.地層によって植生が違うのも興味深かったです.
【生徒感想】 一部の生徒の感想を抜粋です.
・22日はありがとうございました。今回の巡検で学んだこと、知ったこととして最も大きいものは授業でやった断層やクロスラミナや級化構造を見られたことです。もともと実際にあるものを学習しているはずなのに言葉や図で見たり考えているだけなので現実感をあまり感じられませんでした。ですが今回の巡検でそれらの地形などを見て、さわって、記録したことで、断層や級化構造が思っていたよりも多いことなどを知り、地球の歴史を感じられました。またそのような地形とその造られ方が授業よりもよくわかりました。今回の巡検を計画してくださりありがとうございました。
・はじめは 「とりあえず行っておこう」という気持ちで参加していましたが、フィールドワークを進めていくうちにだんだん面白くなってきて最後はとても楽しく勉強することができました。ポットホールに似たタフォニや正断層、スコリアなど様々なことを授業でやった多くのことを実際に見て体感することができました。特に、城ヶ島だからこそ起こる地層の褶曲で洗濯板のような地形になっていることが面白かったです。また、ガイドの方にはとても感謝しています。ぼくたちに、専門的なことをとてもわかりやすく教えてくださってとても興味深いお話でした。地学の面白さに気付きました。やはり教室の中での授業だけではなく、その内容を身をもって体感することが必要だということがわかりました。